カムバック採用制度 その③|ウィンベル式無敵の労務管理Vol.50

カムバック採用制度-その③-

ウィンベルの山口です。
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金曜日の今日は、「ウィンベル式無敵の労務管理」を配信します。
さて、本題です。
本日もカムバック採用制度についてお話いたします。
今回は、これまでの話を踏まえて、この制度を実際に社内の制度として導入する場合の規定の仕方などをお伝えしたいと思います。
なお、制度化は必ずしもしなければならないものではありません。
たとえば、出産を機に辞める従業員がいた場合に「君がいなくなるのは正直会社としては痛手です。子育てが落ち着いてまた働きたいと思ったら、一言うちに声を掛けてくれませんか?その時の状況に応じて、再度雇用することを前向きに検討しますので。」と声をかけるだけでもいいと思います。
もちろん、カムバック採用制度を対外的にアピールして人材確保を狙いたいという場合は、制度化した方がいいでしょう。
では、制度化する場合ですが、規定としては次のような規定を参考にしてください。
(カムバック採用制度)
第●条 会社は、次の要件を全て満たして退職をした従業員について、当該従業員が希望する場合には、カムバック採用として再度雇用する場合がある。
(1)退職時、正社員であった者
(2)退職時の勤続年数が満5年以上の者
(3)就業規則第●条に定める円満退職の要件を満たして退職した者
(4)退職理由が以下のいずれかに該当する者
①育児または介護を理由とする退職
②配偶者の転勤により会社での勤務が困難になったことを理由とする退職
③留学または進学を理由とした退職
④その他会社がカムバック採用制度の利用を認めるのが相当と判断する理由による退職
2 本制度による再度の雇用時の雇用条件は、個別に定める。
3 本制度は従業員が退職した日から10年を経過した時は、当該従業員は利用することができない。
(カムバック採用制度手続き)
第●条 前条のカムバック採用制度の利用を希望する場合、従業員は退職届を提出する際に会社が指定する「カムバック採用制度申請書」を合わせて会社に提出しなければならない。
2 会社は、前項の申請書を受け取った場合は、当該従業員が前条の要件を満たす者かを判断し、要件を満たす従業員には「カムバック採用制度利用認定書」を当該従業員に交付する。ただし、「カムバック採用制度利用認定証」の交付をもって、当該従業員の再度の雇用を保障するものではなく、本制度利用時に改めて選考は行う。
3 退職した従業員が本制度を実際に利用する場合は、会社の指定する履歴書・職務経歴書等の書類と合わせて、前項の「カムバック採用制度利用認定書」を会社に提出しなければならない。
ポイントを解説します。
まずは、要件は明確に定めておきましょう。
これは前回お伝えしたとおり、この制度の目的に応じて定めましょう。
今回、要件の中に「円満退職」を入れてみました。
これは、私が作る就業規則にも入れているのですが、通常の退職と会社の定める特別の要件を満たせば「円満退職」として様々なメリットを設けています。
そうすることで、円満退職を促す仕組みにしています。
今回も、将来カムバック採用というメリットを享受するためには会社が定める「円満退職」の要件を満たしてねという形にしています。
次に、手続きですが、そもそも従業員側が退職時点で機会があればカムバックしたいと思っている方がいいと思いますので、退職時に申請をしてもらう形にしています。
また、賞状のような認定書を作って、それを交付すると従業員としても制度を利用しやすくなるでしょうし、会社に必要とされているんだなという実感も与えられると思いますので、そのような手続きにしています。
もっとも、これを提出すれば必ず再度雇用されると勘違いされても困りますので、選考は別途行うことは明示しています(合わせて、その旨を認定書にも記載した方がよいでしょう。)。
あと、認定書には有効期限を明示した方がいいと思います。
退職後10年以内であれば制度を利用できるとする場合は、明確に「令和●年●月●日まで有効」と認定書に記載しましょう。
いかがでしょうか?
これから予想される人手不足に対応するためにカムバック採用制度も一つの対策として導入を考えてもいいかと思います。
また、これから入社を希望する人に対しても、このような制度があることでこの会社でより働きたいと思ってもらえるきっかけにもなるかも知れませんし、実際にこの制度が将来的に利用されなくても、円満退職をしようという動機付けにもなると思います。
皆さんの参考になれば幸いです。
本日は以上です。
それでは、よい一日を。
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