カムバック採用制度 その②|ウィンベル式無敵の労務管理Vol.49

カムバック採用制度-その②-

ウィンベルの山口です。
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金曜日の今日は、「ウィンベル式無敵の労務管理」を配信します。
さて、本題です。
前回に引き続き「カムバック採用制度」についてお話したいと思います。
本日は、「カムバック採用制度の制度設計」についてお話します。
制度を使うことができる従業員を定めよう
まず、この制度を使うことができる従業員(退職理由、雇用形態、勤続年数など)を定めておきましょう。
この点は、特に退職理由については、この制度を設ける目的次第となります。
ですから、目的を明確にすることが重要になります。
たとえば、この制度の目的を「女性の社会復帰を支援する制度」とするのであれば、その対象者は、妊娠・育児等を理由に退職せざるを得なかった従業員だけが対象となるでしょう。
他にも、「自社以外での経験を自社に還元してもらうための制度」とすれば、他社へ転職した従業員、留学や進学等のために退職した従業員、起業のために退職した従業員等がその対象となるでしょう。
もちろん、目的は複合的でもいいと思いますが、いずれにしても、目的を明確にした上でその対象者の範囲を決定するのが最もよいかと思います。
雇用形態については、会社の実情に合わせて決めていただくことになるかと思います。
退職時に正社員であった者のみに限るのか、非正規雇用の者も含めるのかなどです。
勤続年数については、カムバック採用制度のメリットが教育コストの低減と即戦力の確保という点がありますので、勤続1年未満の者には制度利用を認めるべきではないと思います。
一つの目安としては、3年以上になるかなと思います。
あと、細かいですが、離職期間も定めておく方がよいでしょう。
たとえば、退職してから20年後にカムバック採用制度を使って復職したいと言われても、20年前と今とでは業務自体が違う可能性もありますから、結局中途で新たに採用したのと実質同じということになりかねません。
そのため、「カムバック採用制度の利用期限は退職から10年以内」など、期間を定めておく方がよいと思います。
選考プロセスを定めよう
新規採用よりも採用コストは当然抑えられます。
次に、選考プロセスも定めておく方がよいでしょう。
退職した従業員がいない間にも会社は変化していますし、退職した従業員の適性や能力も会社の現状に合わせて再度チェックをすべきですから選考は行いましょう。
もっとも、選考プロセスは通常の中途採用の選考プロセスよりは簡易にしてもよいかと思います(同じでもいいと思います。)。
あと、とても大切な点は、当時の同僚や上司から話を聞くことです。
カムバック採用制度の隠れたメリットとして、選考時に会社内部の人間の率直な意見を聞ける点があります。
たとえば、当時の上司は「ちょっと戻ってきてほしくないかも・・・」と思っている場合もあります(その場合は配属する部署を調整するなどの手段もあります。)。
ですから、選考プロセスにおいては、当時の同僚・上司の意見を聞くようにしましょう。
このような形で、カムバック採用制度の概要を自社に合わせて作っていきましょう。
次回は、就業規則等で制度化する場合の規定例等を紹介したいと思います。
本日は以上です。
それでは、よい一日を。
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