求人票と採用|ウィンベル式無敵の労務管理Vol.45

求人票と採用

ウィンベルの山口です。
このメルマガでは、「クライアントの勝利の鐘(ウィンベル)を鳴らす」というビジョンの実現を目指す中で、
- 私が目指す弁護士像
- 私をどのように活用してほしいか
- 皆さんにとって有益だと思う情報の共有
などを週3回、午前8時30分ころに配信します。
是非お知り合いにも紹介してください。
[登録用URL]https://39auto.biz/winbell/registp/entryform2.htm
金曜日の今日は、「ウィンベル式無敵の労務管理」を配信します。
さて、本題です。
今日は、ご質問をいただきましたので、その質問に回答する回にしたいと思います。
質問はこちらです。
先日、ハローワーク経由で応募があり、その方と面接をしました。
非常にいい方だったので、採用しようと思いましたが、この業界の経験が浅かったため、ハローワークの求人票に記載した条件と違う条件を提示したところ、その方から

と言われてしまいました。
どうしたらよいでしょうか?
というものでした。
さて、いかがでしょうか?
この点、よく「求人票と違う条件で採用することはダメだ!」という情報が流れているので、誤解をされる方も多いのですが、このような情報は基本的に、入社後に条件が違ったという場面で言われていることです。
つまり、求人票と同じ条件で契約したつもりだったのに契約締結後に実際は違ったことが判明した場合のことで、実は限定された場面での話です。
契約締結前に求人票と異なる条件を提示し、「この条件であれば採用する。」と交渉することは何ら違法ではありません。
私はよく自動車の購入を例に説明をするのですが・・・
あなたが国道沿いを車で走っていると、とあるディーラーの店舗前にシルバーのかっこいい車(表示価格1000万円)が置いてあり、それが欲しくなって、ディーラーに対して、「あのシルバーの車が欲しいんですが。」と言って入店したとしましょう。
そこで、ディーラーの営業マンからそのシルバーの車の性能等の説明を受けたり、納車の時期を確認したりした上で、この車をいくらで買うかを交渉しました。
そして、最終的にこの車を800万円で購入しました。
これって普通にあり得ることですよね?(こんな車の衝動買いはないかも知れませんが。)
これを採用の場面に当てはめてみてください。
月給30万円で募集していたとしても、面接にきた方の適正や能力などを判断して、月給25万円ならうちで採用できますが、どうしますか?という交渉を行うことは当然できますよね?
契約は通常、申込みと承諾があって成立しますが、もし求人票が会社側の申込みだとすると、それに対して、「私、御社で働けます。」と言った時点で雇用契約が成立してしまいます。
こんなバカげたことはないですよね?
法律上は、ディーラーの店舗前に置いてある車も求人票も「申込みの誘引」と言って、申込みを誘いこむためのものに過ぎず、「申込み」ではないんです。
ですから、契約締結前であれば、求人票と異なる条件を提示することは何ら問題ありません。
もちろん、実際の場面では、
- そもそも求人票の条件はどのような人材を想定した条件なのか
- なぜ求人票と異なる条件になるのか(本人の経験、適性、能力等に鑑みた結果であること)
- 異なる条件での採用であれば応募者にも断る権利があること
等を丁寧に説明し、トラブルにならないように配慮する必要はあります。
今回のご質問の事例であれば、雇用契約締結前に条件を提示していますので、ハローワークに相談すると言われても焦る必要はありません。
ハローワークから調査の電話は入るとは思いますが、応募者の経験を考慮して求人票とは異なる条件を提示しただけですと毅然と対応していただければ何の問題もありません。
本日は以上です。
それでは、よい一日を。
バックナンバーはこちら 弁護士山口への質問箱