解雇が有効になった事案から学ぶ~試用期間編~|ウィンベル式無敵の労務管理Vol.86
解雇が有効になった事案から学ぶ
-試用期間編-
ウィンベルの山口です。
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金曜日の今日は、「ウィンベル式無敵の労務管理」を配信します。
さて、本題です。
前回紹介した裁判例の解説が、ありがたいことに皆さんから好評をいただきました。
そこで、今日から複数回に分けて、様々な場面で解雇が有効になった裁判例とそこから得られる教訓を紹介していきたいと思います。
初回の今日は、試用期間満了時の解雇(=本採用拒否)の事例を見てみましょう。
東京地裁令和元年9月18日のヤマダコーポレーション事件です。
事案の概要
圧縮空気を動力源としたポンプを開発・製造するメーカーである株式会社ヤマダコーポレーション(被告)に経営企画室IT管理者(係長)として平成29年9月16日に採用された原告が、会社から試用期間満了により同年11月30日付で解雇された。
判決の結論
裁判所は、被告の本採用拒否は、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であると判断した。
判決のポイント(要点整理)
①試用期間中の解雇は広く許容される
通常、本採用後の解雇よりも試用期間中の解雇・採用拒否の裁量は広く認められます。
この裁判例でもその点は認めています。
②指導・改善の機会は与えられていた
- 上司による面談・指導が実施されていた
- 原告は問題点(協調性・配慮欠如等)を理解し改善する態度に乏しかった
- 原告の社会人経験は十分で、指導の必要性も理解できる立場だった
つまり、裁判所は、単に注意しただけではなく、繰り返しの指導が行われたにもかかわらず改善が期待できない状態だったと評価しました。
③配置転換など他の措置は困難
会社側は、他部署への配置転換等の措置を検討しましたが、次の理由で困難と判断しました。
- 原告の職務内容・他部署との関係
→原告自身が他部署との軋轢を生んでいた - 問題点自体が配置転換で改善される性質のものでない
裁判所は、この点も合理性の判断材料として採用しています。
この事例から学ぶ実務的なポイント
①試用期間だからといって無条件に解雇できるわけではない
指導・評価のプロセスは必要です。
ただし、試用期間は時間が限られているので、必ずしも複数回行わなければならないという訳ではありません。
②問題点の明確化と指導の記録が重要
何が問題なのか、そして、その点について、どのように指導したかの整合性と証拠化が重要です。
③配置転換等は必ずしも必須ではない
配置転換によって、従業員の改善が見込まれる性質の問題であれば、配置転換は必要です。
試用期間中の解雇は、本採用後の解雇よりも広くその有効性が認められやすいですが、常に認められる訳ではありません。
やはり、試用期間中でも会社としてやるべきこととできることをしっかりやって、その証拠を残すことが重要になります。
本日は以上です。
それでは、よい一日を。
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