解雇が有効となった事案から学ぶ その②|ウィンベル式無敵の労務管理Vol.85
解雇が有効となった事案から学ぶ
その②
ウィンベルの山口です。
このメルマガでは、「クライアントの勝利の鐘(ウィンベル)を鳴らす」というビジョンの実現を目指す中で、
- 私が目指す弁護士像
- 私をどのように活用してほしいか
- 皆さんにとって有益だと思う情報の共有
などを週3回、午前8時30分ころに配信します。
是非お知り合いにも紹介してください。
[登録用URL]
https://39auto.biz/winbell/registp/entryform2.htm
金曜日の今日は、「ウィンベル式無敵の労務管理」を配信します。
さて、本題です。
本日も解雇が有効となった事案から学ぶというテーマでお話したいと思います。
前回のメルマガ「解雇が有効となった事案から学ぶ その①」で、新卒で入社した従業員に約9年間指導教育を重ねた結果、解雇が認められた事例を紹介しました。
あの事例を見て、「9年も指導教育しないといけないのか~」と感じた方もいらっしゃると思いますが、実は、そうではありません。
今日は、もう少しこの事例から学ぶべき本質的な部分をお伝えしたいと思います。
そもそも、前回紹介した裁判例の被告(会社)は、皆さんも聞いたことがあると思いますが、AGCというガラスメーカーです。
つまり、大企業です。
大企業だからこそ、原告の従業員の指導教育に人員や時間を割く余裕があったり、他部署への配置転換等を実施して様子を見たりすることができた事例です。
正直、中小企業では9年も指導教育を継続することすらなかなか難しいのではないでしょうか?
この点も踏まえて、皆さんにこの事例から学んでいただきたいポイントは、3点です。
Point.1 採用
結局、この事例における会社の最大のミスは・・・
「採用」
です。
詳しくは判決原文を読んでいただきたいですが、この従業員、めちゃくちゃひどい従業員だったんです。
能力不足に加え、
- 自身の意に沿わない指導をされると大声を出す、机を叩くなどの態度
- 自身の担当業務を円滑に遂行できないのは、周囲の指導力不足が原因とする他責的な言動
- 業務と無関係なメールや特定の同僚を誹謗中傷するメールを上司に送る(裁判でもメールが不適切とは考えていないと供述するなど、反省の態度はなかった)
- 部外秘とされた人事データを社内イントラに無断で掲載
- 会社が貸与していたスマートフォンで同僚を盗撮
など規範意識すら乏しいと評価できる人でした。
このような人材をなぜ採用時に見抜けなかったのか?
私はここが不思議で仕方ありません。
やはり、労働トラブルのきっかけは、「採用」にあるということを示す事例だと思います。
Point.2 支援
この事例で、会社が素晴らしかった点は・・・
「支援」
です。
この会社は原告に対して、極めて丁寧に、指導教育というよりもはや「支援」と評価できるぐらい、諦めずに根気強く原告を支援し続けました。
原告は、本当に良い上司に恵まれていたと思います。
見切りをつけてすぐに解雇するのではなく、会社として原告が活躍できる場を提供し、できることすべてを尽くしたという点が非常に重要です。
今回、大企業であったからこそ、その「できること」が多く、9年という月日を要していますが、中小企業の場合は、ここまでする必要はないと思います。
ポイントは、会社としてやれることを全て尽くしたのかという点です。
Point.3 証拠づくり
この事例で、もっとも会社が素晴らしかったは・・・
「証拠づくり」
です。
支援の過程を全て証拠として残していた点です。
これがなければ、9年間指導教育を続けていたとしても、その証拠がない以上、その事実を立証できず、裁判では負けていたでしょう。
ついつい、指導教育を口頭でしてしまいがちですが、書面でその過程を証拠に残しておくべき重要性を示す事例だと思います。
以上から、今回の事例から学んでいただきたいことは、
- 能力不足や規範意識の低い人材の採用を避けるための仕組みができているでしょうか?
- 感覚で面接していないでしょうか?
です。
本日は以上です。
それでは、よい一日を。
バックナンバーはこちら 弁護士山口への質問箱





