社長!その方は労働者です!|ウィンベル式無敵の労務管理Vol.69
社長!その方は労働者です!
ウィンベルの山口です。
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金曜日の今日は、「ウィンベル式無敵の労務管理」を配信します。
さて、本題です。
本日は、意外と見落としがちな「労働者」か否かの判断についてのお話です。
先日、とある会社の相談に応じたのですが、その会社では、業務委託でスタッフに業務を委託していましたが、その業務がなくなり、必要なくなったため、業務委託契約を打ち切ったそうです。
その後、会社に弁護士名義で「不当解雇だ!」という主張の内容証明が届いたというものでした。
「えっ!?そんなことあるの?」
「業務委託なのに解雇?」
と思われるかも知れません。
この会社の社長も、「業務委託契約書もあるのに、なんで解雇なんて主張をされるのか!?」と驚いていました。
ただ、業務委託契約書があれば全て業務委託になる訳ではなく、実際の働きぶり等から労働者と判断される場合もあります。
この問題を「労働者性」と我々は呼ぶのですが、どのような場合に「労働者」と判断されるのかは実は重要です。
では、具体的にどのように判断されるのでしょうか?
まずは、法律がどのように「労働者」を定義しているか確認しましょう。
たとえば、労働契約法は次のように規定しています。
労働基準法にもほぼ同じ内容で規定されています。
これだけではちょっと判断できないですよね?
そこで、この定義次の2つの要素に分解したいと思います。
- ①使用される
- ②賃金の支払い
まずは、①使用されるという点ですが、これは、会社側の指揮命令下で労務を提供するという意味です。
次に、②賃金の支払いは、労働の対価として会社が労働者に対して支払うすべてのものという意味です。
ようは、労働者とは、会社から指揮命令を受けて、その通り働き、その対価として賃金を得る人ということです。
もう少し具体的に解説します。
労働者か否かの判断をする際に、一般的によく使われている判断要素がありますので、そちらを紹介します。
①仕事の依頼への諾否の自由があるか否か
労働者は自由はない。
②業務遂行上の指揮監督
労働者は指揮監督を受ける。
③時間的・場所的拘束性
労働者は拘束される。
④代替性
労働者は代替性はない。
⑤報酬の算定・支払方法
労働者は報酬の算定が時間単位や日単位である(出来高制ではない。)。
この5つの要素が「労働者」か否かを判断する主要な要素になります。
さらに、これらの要素に加えて、労働者性を補強する要素として、
- 使用する機械や器具の負担の有無
- 報酬の額
- 専属性の程度
などの要素も加味して判断していきます。
以上のように、一言で「労働者」と言ってもその判断は非常に難しい点があります。
経営者としては、まずは、契約書が「業務委託契約書」になっているからその人は労働者ではないと安易に判断しないことが重要です。
また、仮に業務委託だったとしても、現在では、フリーランス法などもありますので、業務委託の人に対する配慮も必要になってきています。(フリーランス法関連の記事はこちらからご覧ください。)
今後、業務委託を活用しようとお考えの方は今日お話した点にご注意ください。
本日は以上です。
それでは、よい一日を。
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