ここがヘンだよ!モデル就業規則 その② - 試用期間|ウィンベル式無敵の労務管理Vol.65

ここがヘンだよ!モデル就業規則
その② - 試用期間

ウィンベルの山口です。
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金曜日の今日は、「ウィンベル式無敵の労務管理」を配信します。
さて、本題です。
本日も、「ここがヘンだよ!モデル就業規則」という連載をしたいと思います。
今回は、試用期間についてです。
2 前項について、会社が特に認めたときは、試用期間を短縮し、又は設けないことがある。
3 試用期間中に労働者として不適格と認めた者は、解雇することがある。ただし、入社後14日を経過した者については、第●条第●項に定める手続によって行う。
4 試用期間は、勤続年数に通算する。
問題なさそうな感じですね。
しかし、やはり実務上の問題点がありますので、注意しましょう。
リスク1:延長規定がない
モデル就業規則では、短縮規定と不設置規定はあります。
正直、この規定は不要です。
そもそも、試用期間はお試し期間なわけで、「お互いのことを知りましょう」というものです。
ですから、そんな大事な期間を短縮したり、なくしたりする必要はありません。
一方で、延長は必要です。
そうしなければ、原則の試用期間中にその方がどういう方かを見定められない場合が当然ありますので、その場合はやはり延長する必要があります。
試用期間が適用される従業員に制限がない
モデル就業規則は、基本的に正社員に適用されることを想定しているのかも知れませんが、もしこのまま使ってしまうと、有期雇用契約者についても試用期間が設定されることになります。
有期雇用契約者については、試用期間は不要です。
そもそも試用期間は、ここから先長いお付き合いになる(長期的な雇用契約になる)ことを前提に、お互いのことを知るための期間です。
一方で、有期雇用契約者の場合、そもそも期間が決まった雇用契約ですので、長期的な関係性は前提となっておりません。
そのため、有期雇用契約者に試用期間を設けてしまうと、従業員に対して更新の期待を持たせてしまったり、そもそも長期的契約を前提としていたのではないかと、後から争いになる可能性があります。
そこで、試用期間は正社員のみに適用されるものであることを明示すべきです。
モデル就業規則のリスクは以上ですが、今回のモデル就業規則では、評価すべき点もありますので、その点もご紹介しておきます。
それが3項です。
試用期間中または試用期間満了時の解雇について、普通解雇と同じ事由に該当した場合のみ解雇するという規定をしている就業規則がよくあります。
しかし、そのように解雇してしまうと、ハードルは高いとはいえ、本採用後の解雇よりも解雇しやすい試用期間中または試用期間満了時の解雇に自ら足かせをつけた状態になります。
この点は、モデル就業規則のように「不適格と認めた者」とざっくりとした規定が適切です。
なお、補足ですが、同じ3項に
という規定があります。
これを読むと、14日以内なら自由に解雇できると勘違いしてしまいがちですが、14日以内でも解雇する場合は、その合理性・相当性の判断はなされますので、注意してください。
「14日以内なら自由にリスクゼロで解雇できる」という情報は間違いですので、ご注意を!
本日は以上です。
それでは、よい一日を。
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