聞いていいの?「あなたは健康ですか?」 その①|ウィンベル式無敵の労務管理Vol.72
聞いていいの?「あなたは健康ですか?」-その①-
ウィンベルの山口です。
このメルマガでは、「クライアントの勝利の鐘(ウィンベル)を鳴らす」というビジョンの実現を目指す中で、
- 私が目指す弁護士像
- 私をどのように活用してほしいか
- 皆さんにとって有益だと思う情報の共有
などを週3回、午前8時30分ころに配信します。
是非お知り合いにも紹介してください。
[登録用URL]
https://39auto.biz/winbell/registp/entryform2.htm
金曜日の今日は、「ウィンベル式無敵の労務管理」を配信します。
さて、本題です。
前回のメルマガで採用時の調査の自由についてお話をしたところ、精神疾患などの心身の健康状態についてどこまで聞いていいのか?という点についてもっと詳しく知りたいというお声をいただきましたので、今日から複数回にわたり、採用時の心身の健康の調査についてお話したいと思います。
そもそも、労働契約とは、労働者が労務を提供し、それに対して使用者は賃金を支払うという契約です。
つまり、使用者としては、当然ちゃんと労務を提供できる人=健康な人を雇いたいと思うのは当然です。
ですから、労働者の健康情報を取得したいと思うのは当然のニーズです。
その一方で、「採用面接の際に応募者の健康状態を聞いてはいけない」という謎の情報が蔓延しているのも事実です。
まずは、この誤解から解きましょう。
確かに、個人情報保護法では、人の「病歴」や「心身の機能の障害」は、「要配慮個人情報」に該当します。
そして、この要配慮個人情報は、本人の同意なく取得することは禁止されています。
そのため、採用面接時に健康状態を聞いてはいけないという誤解を生んでいると思われます。
しかし、個人情報保護法は、要配慮個人情報について、取得してはいけないとは定めていません(取得できなかったら、社会生活を送れなくなります。)。
取得する時は、同意を取りましょう、同意を取って取得した情報の取扱いには特に配慮しましょう、と言っているだけです。
つまり、健康状態についても本人の同意を得れば取得可能ということです。※1点注意点としては、HIV感染症、B型肝炎、遺伝情報については、原則として取得すべきではないという指針はあります。
誤解が解けたところで、次は、採用面接時に健康情報を取得すべき必要性について紹介します。
たとえば、こんな経験や話を聞いたことありませんか?
私はこのような相談を何度も受けたことがあります。
その際、私が確認することはたった一つです。
このような場合、労働者側は、
と反論します。
経歴詐称と主張するためには、そもそも聞いていないといけないのです。
聞いた上で、「メンタルヘルスは問題ない。」とか「メンタルヘルス関係で通院したことはない。」などの回答を得ていれば、面接時に虚偽の事実を申告したということにできますが、そもそも聞いていなければ、できないんです。
このようなトラブルに備えるためにも、採用時に健康情報を取得する必要があるわけです。
本日は以上です。
次回は、裁判例を紹介しながら、実際に精神疾患等の病歴について調査が可能かについてお伝えしたいと思います。
それでは、よい一日を。
バックナンバーはこちら 弁護士山口への質問箱





