休職中に推し活!?|ウィンベル式無敵の労務管理Vol.62

休職中に推し活!?

ウィンベルの山口です。
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金曜日の今日は、「ウィンベル式無敵の労務管理」を配信します。
さて、本題です。
本日はいただいたご質問にお答えしたいと思います。質問はこちらです。

まずは、そもそも、休職期間中に療養に専念する義務が従業員にあるかという点から説明します。
この点、一般的に、療養専念義務があると言われています。
もっとも、裁判例ではこのような判断がなされています。
という何か微妙な判断をしています。
ですから、就業規則の休職制度を定める際に療養専念義務を明記し、雇用契約上の従業員側の義務とするのがいいかと思います。
休職中の推し活は療養専念義務違反?
次は、今回の相談のように休職中に推し活をすることが、療養専念義務に反するのかという点を説明します。
ここは、休職の原因となった私傷病の内容が重要になります。
たとえば、プライベートで足を骨折したために業務に従事できなくなった人が、休職中にサッカーの試合に出場していたとしたらどうでしょうか?(このような従業員を私は朝青龍型従業員と呼んでいます。わかる人にはわかると思います。)
さすがに骨折してんだから安静にしておけよ!って思いますよね。
このような場合は、療養専念義務に違反していると言えるため、指導教育等をすることは可能です。
ただ、このような事例はかなり稀です。
今回の質問は、おそらく、私傷病は精神疾患だと思います。
そうすると、精神疾患の方が推し活をすることが療養専念義務に反するのか。
一般的に、精神疾患の場合、推し活などの趣味的な活動がその療養に効果的であると言われています。
そうすると、休職中に推し活をしたからといって、すぐに療養専念義務に反するとは言えないということになります。
今回の質問の真の問題点
以上が質問に対する回答になりますが、実は、この質問で本当に我々が考えなければならない点は別にあると私は思っています。
それは、SNSにアップしている点です。
もし、この方のSNSを他の従業員が見たらどう思うでしょうか?
やはり、いい気持ちはしないですよね?
ようは、他の従業員の士気を下げる可能性があるということです。
経営者としては、この点の対策を取るべきだと思います。
具体的には、休職に入る前に療養専念義務があることや休職中の社保の取り扱い等の説明に加えて、休職期間中に療養に専念していないと他者から疑われる可能性のある情報発信は控えることを伝えましょう。
書面で説明をして、休職者にサインをもらうのがベストです。
そうすれば、SNSにアップした場合、指導教育がしやすくなりますし、改善が見られない場合は、懲戒処分も可能になります。
休職制度は様々なリスクをはらんでいますので、今一度自社の休職制度を見直していただければと思います。
本日は以上です。
それでは、よい一日を。
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